技術教育出版(有)
 

 
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定価 本体52,200円+税
発行 2005年10月
体裁 B5ケース入りハードカバー上製609 頁
編集 鈴木敏幸(花王)、堀内照夫(神奈川大学)
ISBN 4−907837−12−7 C3058

10、最新・界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術




出版のねらい
 界面活性剤は一分子の中に親水基と疎水基の性質の異なる構造要素を兼ね備えた両親媒性化合物である。この界面活性剤は界面に吸着すること、また水(または有機)溶媒中で、自己組織化するユニークな特長を持っている。そしてこれらの特徴は乳化、分散、可溶化、洗浄、湿潤、起泡、カプセル能等の作用の発現に関与するので、洗剤をはじめ、化粧品、医薬品、食品、農薬、塗料、土木、エネルギー(配管抵抗減少剤、燃料)等のあらゆる産業分野の製品に深く関わっている。界面活性剤は広範囲な産業分野で積極的に使用され、独自の固有技術として、育成されてきた。しかし、異種産業分野間での横断的な“界面活性剤利用技術”としての交流は少ないように思える。また、これまでこの様な視点から界面活性剤の利用技術を取り扱った技術・解説書も少ない。
 本書は技術開発並びに製品開発に向け、異分野の視点からの“技術コンセプトの構築”を支援するため、各分野の第一線で活躍中の研究者、技術者の方々に、界面活性剤の理論的な取り扱いよりはむしろ実用面での原理・応用に主眼をおき、最新の研究・開発の知見、今後の展望についてご執筆いただいた。また界面化学を専門としない最前線での技術者にとっても有力な指針が得られるように配慮した。
 
 
 内容および執筆者
 【第1編 機能性界面活性剤の開発・技術と応用】
神奈川大学 堀内 照夫
1.はじめに 2.界面活性剤とは
3.疎水基による界面活性剤の機能化
3-1油性成分固定化界面活性剤(金属石けん)
3-2天然系カチオン界面活性剤
3-3酸化防止性界面活性剤(トコフェロール誘導体)
3-4重合性界面活性剤
3-5ハイブリッド型界面活性剤
3-6有機ケイ素系界面活性剤
3-7抗菌性固定化界面活性剤
3-8フッ素系界面活性剤
3-9有機遷移金属系界面活性剤(酸化還元電位応答型)
4.親水基による界面活性剤の機能化
4-1バイオサーファクタント
4-2筒状アニオン界面活性剤(シクロデキストリン誘導体)
4-3糖質系界面活性剤
4-4半極性有機ホウ素系界面活性剤
4-5ペプチド系界面活性剤
5.親水基および疎水基による界面活性剤の機能化

【第2編 界面活性剤の基礎物性と機能創製─トイレタリー分野を中心として─】
神奈川大学 堀内 照夫
1.はじめに
2.界面活性剤水溶液の物理化学的性質
3.界面活性剤の機能の創製
3-1Anion‐cation surfactantによる表面活性能のエンハンス
3-2混合界面活性剤による無機塩の溶解性向上
3-3混合界面活性剤によるタンパク変性抑制効果 3-4泡のエンハンサー効果
3-5界面活性剤のカプセル機能(ベシクル形成界面活性剤)
4.界面活性剤と高分子化合物との相互作用
4-1水溶性高分子による界面活性剤溶解性向上
4-2界面活性剤による水溶性高分子の曇点上昇効果
4-3水溶性高分子による界面活性剤の可溶化能の向上
4-4界面活性剤による水溶性高分子の可溶化:Trigger mechanismの応用によるコンディショニング作用
4-5カチオン化セルロース/アニオン界面活性剤複合塩の乳化能
4-6界面活性剤による水溶性高分子の増粘効果
5.界面活性剤と不溶性高分子化合物との相互作用

【第3編 界面活性剤による機能創製と基本技術】
第1章 乳化・分散 花王(株) 鈴木 敏幸
1.はじめに 2.乳化・分散系の基本
2-1分散系の特性 2-2エマルションの状態 2-3乳化・分散系の生成 2-3-1凝集法と分散法 2-3-2乳化型決定の因子 2-4乳化・分散系の安定性 2-4-1エマルションの崩壊 2-4-2安定化の理論 2-4-3実用系における不安定化の例
3.乳化剤の物性と適切な選定
3-1乳化剤の種類と構造 3-2界面活性剤がつくる会合体 3-3HLBとHLB数システム
4.相図とエマルション
4-1相図の基礎 4-2乳化解析のための3成分系相図
5.エマルションの生成法
5-1転相温度乳化 5-2液晶乳化 5-3D相乳化 5-4凝集法を用いたナノサイズエマルション 5-5粘度鉱物を利用した乳化 5-6機械的手法
6.乳化・分散系の評価・解析法
6-1液晶、ゲルの解析 6-2乳化型の判定 6-3乳化状態の評価と解析

第2章 可溶化とマイクロエマルション
横浜国立大学 荒牧 賢治、國枝 博信
1.はじめに
2.ミセルへの可溶化とマイクロエマルション
3.親水性-親油性バランス(HLB)
4.界面活性剤系の相挙動とHLB温度
5.混合界面活性剤系におけるHLB温度
6.補助界面活性剤を用いたマイクロエマルションの可溶化量の調節
7.両親媒性可溶化増強剤

第3章 洗浄と洗浄剤 東京理科大学 荻野圭三
1.はじめに 2.基質の種類 3.汚れの種類 4.汚れの付着機構 5.洗浄のメカニズム 5-1洗浄の界面化学 5-2油汚れの除去 5-3固体粒子汚れの除去 6.洗浄に及ぼす界面活性剤の構造と挙動 6-1R‐理論の適用 6-2CPPの適用 6-2-1洗浄性をを高めるための具体的な方策
7.最近の洗浄剤の開発動向
7-1粒状洗剤 7-1-1新規界面活性剤 7-1-2新規ビルダー 7-1-3新規な酵素 7-1-4新規な漂白活性化剤 7-2液体洗剤 7-3その他の新製品

第4章 起泡・消泡技術 ライオン(株) 田村隆光
1.はじめに 2.起泡技術 2-1起泡性と安定性の支配因子
2-2表面張力低下速度と気泡の発生
2-3液膜の物性と泡沫の安定性
2-4界面活性剤の構造と泡立ち性
3.消泡技術 3-1安定化因子の削除による消泡
3-2発生直後の泡膜の破壊

第5章医療・食品における殺菌・消毒及び静菌
埼玉第一製薬(株) 山内 仁史 摂南大学 佐久間信至
1.殺菌、消毒の定義 2.消毒剤の分類と効果
3.殺菌作用のメカニズム
4.主な界面活性剤の効果と応用

第6章 マイクロカプセルと界面活性剤
東京理科大学 牧野 公子
1.界面活性剤を使用するマイクロカプセル化と必要としないマイクロカプセル化
2.マイクロカプセル化の過程で界面活性剤はどのようにはたらくか?
3.界面活性剤とゼラチン複合体をマイクロカプセルの膜とする方法
4.マイクロカプセルの界面活性剤による崩壊

第7章 水溶性高分子と界面活性剤の相互作用−毛髪化粧品を中心に−
ライオン(株) 山縣 義文、三宅 深雪
1.はじめに
2.界面活性剤や水溶性高分子の分子構造と相互作用に関わる物性変化
2-1界面活性剤と水溶性高分子のタイプと結合性 2-2結合等温線と結合パラメーター 2-3表面吸着 2-4ミセルの結合と色素の可溶化 2-5粘度変化 2-6複合体の溶存領域と析出領域
3.毛髪化粧品と水溶性高分子
3-1シャンプーにおける機能創製
3-2トリガーシステムとシャンプー
3-3すすぎ感触と支配因子
3-4その他の複合体の役割
 
【第4編 界面活性剤の応用技術】
第1章 医療用界面活性剤
埼玉第一製薬(株) 山内仁史, 摂南大学 佐久間信至
1.医薬品添加剤としての界面活性剤
2.界面活性剤の製剤への応用
2-1通常製剤における界面活性剤の活用
3.医療用界面活性剤の最近の動向
3-1微粒子キャリヤーとしての応用
3-2吸収促進剤としての応用

第2章 化粧品・パーソナルケア用品用界面活性剤 花王(株) 鈴木 敏幸
1.はじめに 2.化粧品・パーソナルケア用品に用いられる界面活性剤
3.皮膚清浄用品と界面活性剤
3-1皮膚洗浄料 3-2メイク落とし
4.スキンケア用品と界面活性剤
4-1乳化剤、可溶化剤としての応用
4-2自己組織性脂質としての応用
5.メイクアップ化粧品と界面活性剤
5-1ベースメイクにおける応用
5-2ポイントメイクにおける応用
6.ヘアケア用品と界面活性剤
6-1シャンプー 6-2リンス、コンディショナー

第3章 ハウスホールド用品用界面活性剤
ライオン(株) 濱 逸夫
1.はじめに 1-1界面活性剤を使用している商品 1-2界面活性剤の使用目的
2.衣料用洗剤
2-1洗剤の歴史 2-2衣料用ヘビー洗剤 2-3衣料用洗剤の今後の動き 3.柔軟仕上げ剤 4.台所用洗剤 5.漂白剤
第4章 香料用界面活性剤
曽田香料(株) 兼井 典子
1.はじめに 2.香料 2-1香料の用途 2-2香料の分類 2-3香料の特性
3.香粧品用香料と界面活性剤 3-1水、及び界面活性剤水溶液への香料の溶解度 3-2香料の可溶化に及ぼす界面活性剤の影響 3-3ポリオキシエチレンアルキルエーテル水溶液中での香料の挙動 3-4製品中における香料の可溶化
4.食品香料と界面活性剤

第5章 食品用界面活性剤 花王(株) 中島義信
1.はじめに 2.食品用界面活性剤と食品添加物規制 3.食品用界面活性剤の機能と一般的用途
4.食品用界面活性剤の最新技術
4-1界面活性剤の高純度化/組成最適化による高機能化
4-2レシチンの新たな機能開発
4-3界面活性剤と蛋白質の複合化による機能開発
4-4界面活性剤W/O乳化力を利用した機能性乳化物製剤の開発
4-5界面活性剤の生理機能に着目した応用

第6章 農薬用界面活性剤 製剤技研 辻 孝三
1.はじめに 2.農薬用界面活性剤の種類と特徴
3.製剤と界面活性剤
3-1粉剤 3-2粒剤 3-3水和剤
3-4顆粒水和剤(WG)
3-5ジャンボ剤 3-6水面展開剤
3-7長期残効型箱施用粒剤
3-8乳剤 3-9液剤 3-10フロアブル製剤
3-11エマルション製剤
3-12サスポエマルション製剤
3-13マイクロエマルション製剤
3-14マイクロカプセル剤
4.展着剤 5.アジュバント(機能性展着剤)
6.内添型アジュバント 7.生物活性 8.界面活性剤の安全性

第7章 印刷インキ用界面活性剤
東京インキ(株) 高尾 道生
1.はじめに 2.分散剤としての界面活性剤
3.顔料の表面改質剤としての分散剤
4.水性インキ用界面活性剤
5.オフセットインキ用界面活性剤

第8章 塗料用界面活性剤−顔料分散剤を中心として−
楠本化成(株) 長沼 桂
1.はじめに 2.界面活性物質 3.分散剤の種類 3-1低分子系分散剤 3-2高分子系分散剤 3-3イオン性・非イオン性による分類
4.湿潤・分散剤に要求される性質
5.分散過程と分散剤の作用 6.分散剤の効果

第9章 脱墨剤 花王(株) 池田 康司
1.はじめに 2.脱墨工程と脱墨剤の働きについて 3.脱墨剤の構造と特徴について
4.界面現象からみた脱墨剤の働き
4-1インキの剥離 4-2インキの除去
5.最近の動向
5-1雑誌古紙 5-2オフィス古紙の脱墨

第10章 乳化重合用界面活性剤
旭電化工業(株) 別府 耕次、小林 和史
1.はじめに
2.乳化重合の機構と用いられる界面活性剤
3.乳化重合用界面活性剤における最近の技術と問題点
4.反応性界面活性剤

第11章 高分子材料用界面活性剤
日本油脂(株) 五百藏 賢一
1.はじめに 2.帯電防止剤
2-1帯電現象 2-2界面活性剤による帯電防止方法 2-3帯電防止剤の種類 2-4帯電防止性の評価方法 2-5帯電防止剤を選定するポイント 2-6具体的な帯電防止剤の例 2-7帯電防止剤の安全性 2-8帯電防止剤の環境問題への対応
3.防曇剤

第12章 コンクリート用化学混和剤
(株)エヌエムビー 太田 晃
1.はじめに 2.コンクリート用化学混和剤の種類 3.化学混和剤の変遷
4.各混和剤の特性
4-1AE剤 4-2減水剤・AE減水剤 4-3流動化剤 4-4高性能AE減水剤 4-5その他の特殊用途混和剤
5.混和剤の作用機構

第13章 配管抵抗減少剤(DR剤)
神奈川大学 堀内 照夫
1.はじめに 2.配管抵抗減少効果とは
3.界面活性剤水溶液の性質
4.第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤誘導体水溶液の分子集合状態と配管抵抗減少効果

第14章 潤滑剤用界面活性剤
東京都立科学技術大学 広中 清一郎
1.はじめに 2.界面活性剤と境界潤滑 3.界面活性剤と機能 4.トライボセラミックス用の潤滑剤

【第5編 界面活性剤と安全性・環境】
第1章 界面活性剤と安全性
ライオン(株) 増田 光輝
1.はじめに 2.安全とはどういうことか
3.家庭用製品の安全性はどのように考えるのか
4.家庭用製品の使用上の安全性とはどういうことか 5.どのようにして家庭用製品とその成分の安全性を評価するのか 6.界面活性剤の安全性評価状況

第2章 界面活性剤と環境−生分解性試験を中心に−花王(株) 西山 直宏
1.界面活性剤の使用と水環境への排出
2.界面活性剤の生分解 3.生分解性試験法 4.界面活性剤の生分解性

【第6編 界面活性剤の新技術と展望】
−光・電気・熱刺激により粘弾性挙動が変化する界面活性剤水溶液−
東京理科大学 阿部 正彦、酒井 秀樹
1.はじめに 2.溶液粘性の外部刺激による制御
3.光・電気による溶液粘性の可逆的制御
3-1光・電気応答性界面活性剤
3-2高粘性紐状ミセル水溶液の形成と粘性制御のコンセプト 3-3溶液粘性の光化学的制御 3-4溶液粘性の電気化学的制御
4.温度依存性粘弾性挙動を示すフッ素系ハイブリッド界面活性剤

【第7編 グローバル視点からの界面活性剤及び関連原料の市場動向と展望】
花王(株) 出口 勝彦
1.はじめに 2.日本のトイレタリー市場動向
3.グローバル洗剤市場 4.欧米洗剤市場 5.界面活性剤用基礎原料市況 6.界面活性剤のグローバル動向 6-1LAB/LAS 6-2高級アルコール系界面活性剤 6-3高級脂肪酸系界面活性剤 6-4最近注目されている新規界面活性剤及び添加剤動向 7.おわりに 8.付録(日本市場の主なトイレタリー製品に用いられている界面活性剤)






 

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