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定価 |
本体54,000円+税 |
発行 |
2002年10月 |
体裁 |
B5ハードカバー上製195頁 |
編集 |
藤嶋 昭(東京理科大学)橋本和仁(東京大学) |
ISBN |
4−907837−08‐9 C3058 |
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6、可視光利用技術最前線
―色素増感型太陽電池と可視光応答型光触媒の最新技術―
世界と日本の光触媒技術をリードしてきた藤嶋・橋本責任編集による
可視光応答型光触媒技術の決定版!
色素増感型太陽電池の固体化
・擬固体化を目指す、最新技術を解説!
出版にあたって
「本多・藤嶋効果の発見」「抗菌・セルフクリーニング機能を持たせた材料開発」「光誘起親水化反応の発見」等、いくつかのブレークスルーを遂げてきた「光触媒」は、窒素ドープ酸化チタンの発見により、「可視光応答」がついに実現されることとなりました。
可視光応答型光触媒技術の発展は、これまで紫外線が少なく応用に制限のあった内装材への展開や空気浄化、水処理など、光触媒が不得意としてきた比較的多量な物質の処理にも大きなブレークスルーをおこし、環境関連など光触媒応用製品の市場の急成長を導くことでしょう。
「色素増感型太陽電池」は「固体化」「ゲル化」により大きなブレークスルーを遂げ、高効率化と耐久性向上のためのデバイス開発が急速に進んでいます。さらにこうした研究開発の進展がフィルム化太陽電池(プラスチック太陽電池)の実用化への道を開いています。
こうした「可視光」利用の急速な技術展開に焦点をあてて編集した本書は、電池、光触媒関連、色素、化学、材料メーカーはもとより、広く住宅・建築、エネルギー・環境関連の方々のお役に立つものと考えます。
構成と内容
はじめに
第1編 色素増感型太陽電池の最新技術
第1章 色素増感型太陽電池研究開発の歴史と展望
神奈川科学技術アカデミー 藤嶋 昭
1.はじめに 2.太陽エネルギーの大きさ 3.太陽エネルギーの変換 4.太陽電池 5.酸化チタン電極の光増感電解 6.酸化チタン電極を用いる水の光分解 7.色素増感研究の歴史 8.色素増感電池の固体化 8−1.導電性ガラスへの酸化チタン薄膜最適接合技術 8−2.酸化チタンの多孔質化技術 8−3.CuI等p型半導体固定化技術の開発 8−4.対向電極技術の開発 9.おわりに
第2章 色素増感太陽電池研究開発の現状
(独)産業技術総合研究所 荒川裕則
1.はじめに 2.産総研・光反応制御研究センターにおけるグレッツェル・セルの性能追試(変換効率8.4%の達成) 2−1. 多孔質で高表面積なチタニア薄膜の調製 2−2.光散乱中心の添加 2−3.チタニア薄膜のTiCl4 処理 2−4.Ru色素固定チタニア膜の塩基処理 2−5.色素増感太陽電池の性能 3.新しい色素増感型太陽電池の開発 3−1.チタニア以外の酸化物半導体薄膜光電極を用いる色素増感太陽電池 3−2.新規な高性能金属錯体色素の開発 3−3.有機色素を用いた色素増感太陽電池の研究開発 4.色素増感新型太陽電池の実用化への課題 4−1.経済性 4−2.高効率化 4−3.耐久性
4−4.セルの集積化技術 5.おわりに
第3章 色素増感型太陽電池の固体化の最近の展開
静岡大学 昆野昭則
1.はじめに 2.固体化にはどのような方法があるか? 2−1.電解液をゲル状固体化する方法 2−2.有機正孔輸送層を用いる方法
2−3.p-型半導体を用いる方法 3.固体化を成功させるためのポイント 3−1.性能を左右する短絡防止層 3−2.多孔質膜内にいかに固体正孔輸送層を充填するか? 4.ヨウ化銅を固体正孔輸送層とする全固体型色素増感太陽電池 4−1.作成法 (1)TiO2 電極の作製法
(2)ヨウ化銅層の形成 4−2.ヨウ化銅への添加物の効果 (1)イミダゾリウム塩の添加効果 (2)チオシアン酸イオンによるヨウ化銅微粒子の微細化 4−3.特長および問題点と対策 5.今後の展望
第4章 色素増感型太陽電池の擬固体化の最近の展開
九州工業大学:早瀬修二,東芝:村井伸次,御子柴智,角野博康
1.はじめに 2.擬固体色素増感太陽電池とは 3.ゲル化剤の分子設計のために考慮すべき項目 4.物理ゲル電解質を使った擬固体色素増感太陽電池 5.架橋型ゲル電解質を使った色素増感太陽電池 5−1.ヨウ素存在下で反応するゲル化剤の探索 5−2.少量のゲル化剤で液体電解液をゲル化する仕組み 6.おわりに
第2編 可視光応答型光触媒の最新技術
第1章 可視光応答型光触媒研究開発の歴史と展望
東京大学 橋本和仁
1.はじめに 2.光触媒研究の歴史 2−1.本多・藤嶋効果の発見 2−2.粉末光触媒へ 2−3.酸化チタンによる有機物と水の反応 2−4.水素発生から酸化分解へ 2−5.可視光応答光触媒へ 3.窒素ドープ酸化チタン光触媒 3−1.特許から見た開発経緯 3−1−1.三菱化成 3−1−2.シャープ 3−1−3.住友化学工業 3−1−4.豊田中央研究所 3−1−5.エコデバイス社 3−2.可視光応答機構 3−2−1.合成方法 3−2−2.XPSによるキャラクタリゼーション 3−2−3.可視光吸収酸化チタンのバンド構造と光学吸収 3−3.反応活性 3−3−1.可視光応答活性の評価法 3−3−2.光誘起酸化分解の反応例 3−3−3.光誘起親水性の反応例
第2章 NOX をドープした酸化チタンの可視光触媒活性
北海道大学 佐藤真理
1.はじめに 2.キシダ化学製β型水酸化チタンの光触媒活性 2−1.焼成による結晶構造および吸収スペクトルの変化 2−2.光触媒活性の測定 3.加水分解法による NOX ドープ酸化チタンの調製と光触媒活性 3−1.TTIPのアンモニア水による加水分解 3−2.光吸収スペクトル 3−3.光触媒活性 3−4.ドーピングのメカニズム
第3章 TiO2 /WO3 高感度化親水性材料
東陶機器・東京大学 宮内雅浩
1.緒 言 2.高感度化のための設計指針 3.担持型TiO2 /WO3 複合薄膜 4.積層型TiO2 /WO3 薄膜 5.暗所維持特性の付与(さらに SiO2 との複合) 6.おわりに
第4章 可視光応答型酸化チタン光触媒の研究
東京大学 入江 寛
1.緒 言 2.窒素ドープ型酸化チタン粉末 2−1.作製方法 2−2.キャラクタリゼーション 2−3.光触媒活性評価 2−3−1.評価方法 (1)気相分解 (2)光源 2−3−2.評価結果 (1)プロパノール気相分解 (2)アセトアルデヒド気相分解 3.窒素ドープ型酸化チタン薄膜 3−1.作製方法 3−2.キャラクタリゼーション 3−3.光触媒活性評価 3−3−1.評価方法 (1)親水化特性(2)オレイン酸分解 (3)光源 3−3−2.評価結果 (1)親水化特性 (2)オレイン酸分解 4.考 察 5.総 括
第5章 窒素ドープによる酸化チタン光触媒の可視光応答化
豊田中央研究所 森川健志・旭 良司・青木恒勇・大脇健史・多賀康訓
1.はじめに 1−1.酸化チタン光触媒の研究開発の経緯 1−2.従来の可視光応答型酸化チタン光触媒 2.豊田中央研究所における可視光応答化のコンセプトと材料設計 3.Ti-O-N光触媒薄膜 3−1.スパッタTi-O-N膜の作製法 3−2.スパッタTi-O-N膜の光学特性 3−3.スパッタTi-O-N膜の光触媒特性 3−3−1.メチレンブルーの分解特性 3−3−2.表面親水性 4.Ti-O-N光触媒粉末 4−1.作製法 4−2.Ti-O-N粉末の光触媒性能 4−3.Ti-O-N粉末の耐久性 5.Ti-O-N光触媒中のN原子の状態 5−1.XPSのN1s殻スペクトル 5−2.NのOサイト置換ドーピング 5−3.置換サイトNの量と可視光活性との関係 6.おわりに
第6章 低温プラズマ法および湿式法で調製した可視光応答型酸化チタン光触媒と特徴 近畿大学 井原辰彦
1.はじめに 2.調製方法 2−1.プラズマ法 2−2.湿式法
2−3.湿式法による可視光活性発現のポイント1 2−4.湿式法による可視光活性発現のポイント2 2−5.加熱法 3.可視光活性評価 4.耐久性 5.まとめ
第7章 可視光線応答型酸化チタン光触媒の開発
住友化学工業 酒谷能彰・奥迫顕仙・小池宏信・安東博幸
1.はじめに 2.粉末状可視光線応答型酸化チタンの開発 2−1.調製および評価方法 2−2.可視光線での評価結果 2−3.蛍光灯での評価結果 2−4.ブラックライトでの評価結果 2−5.反応の波長依存性 2−6.触媒活性の寿命評価 2−7.分解対象物質 2−8.XPS測定結果 3.可視光線応答型酸化チタンコーティング剤の開発 3−1.特 徴 3−2.評価方法および結果 4.繊維状可視光線応答型酸化チタンの開発 5.まとめ
第8章 水の可視光分解を目的としたオキシナイトライドの研究
東京工業大学 高田 剛,原 亨和,堂免一成
1.はじめに 2.種々の半導体光触媒 3.オキシナイトライドの合成と構造 4.オキシナイトライドの光触媒活性
第9章 可視光応答型光触媒による水の完全分解反応
(独)産業技術総合研究所 荒川裕則
1.はじめに 2.光合成のZ-スキームを模倣した可視光照射二段階光触媒水分解システム 2−1.二段階光触媒水分解システムの概念 2−2.NaI(I−)水溶液からの水素発生(PS1[H2])2−3. NaIO3(IO3−)水溶液からの酸素発生( PS2[O2])2−4.水の完全分解システムの構築(PS1[H2]+PS2[O2])3.新しい InTaO4 系光触媒を用いた可視光照射下での一段階水分解システム 3−1. InTaO4 系光触媒の水分解活性 3−2. InTaO4 系光触媒の構造とその安定性 3−3. InTaO4 系光触媒のバンド構造と触媒機能の発現
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