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定価 本体49,000+税
発行 2002年10月
体裁 B5ハードカバー上製324頁
監修 鈴木敏幸(花王)
ISBN 4−907837−09−7 C3058

7、化粧品の機能創製・素材開発・応用技術


監修 鈴木敏幸
花王(株)パーソナルヘルスケア研究所 所長
・国際化粧品技術者会最優秀論文賞受賞
・米国化粧品科学者会最優秀論文賞受賞
・日本化学会科学技術賞受賞、他

全編企業研究者による執筆! 

出版のねらい
 化粧品は日常の生活と密接に関わり、同化しているため、その機能を改めて意識することはほとんどないが、その中には驚くほど洗練された先端の科学技術が巧みに利用されて機能を発揮している。しかしながら、ひとつの化粧品を支えている基盤分野は、皮膚生理、コロイド・界面化学、微生物、粉体工学、光学・色彩科学、心理学・社会科学と多岐にわたるため、その一つ一つを独立して取り上げても“化粧品の技術”を語ることにはならない。それぞれの分野における知見や技術進歩が互いに作用し合い、化粧品の高機能化を促しているからである。また、生活社会環境の変化とそれに伴う生活者の意識の変化も化粧品の訴求や機能設計に反映され、化粧品の進化を促している。
 本書は、化粧品技術内容をできる限り本質的に解析し、解説を行うことをめざし、第一線で活躍中の企業研究者により、@化粧品の背景にある生活環境や科学技術の変遷解析、すなわち「何故そのような化粧品あるいは素材・技術が望まれ、開発されるのか」、A化粧品あるいは素材の設計(基本訴求と技術者の発想、開発アプローチ、具現化のための工夫)、B基本製剤技術および注目されている素材開発、C応用商品化技術、すなわち「素材・技術を組み合わせていかに機能性化粧品として仕上げたか」について解説を行う。
 本書で取り上げた応用技術分野は、皮膚清浄化粧品(洗顔料およびメイク落とし)、スキンケア化粧品、ベースメイク、ポイントメイク、ヘアケア化粧品であり、主な化粧品分野をすべて網羅してあるだけでなく、どれもが実際の商品に応用され、近年の化粧品技術の向上に著しく貢献している最新の技術である。化粧品の技術者のみならず、関連分野の商品開発に携わっている技術者にとって、実際に役立つ本であることを確信している。本書の企画に賛同され貴重な技術内容を公表された執筆者諸氏に敬意を表したい。
(本書“はじめに”「花王」鈴木 敏幸)


内容および執筆者

1.総論−化粧品の機能創製・素材開発・応用技術−
花王 鈴木敏幸
1.はじめに 2.スキンケア化粧品の動向 2-1.保湿ケア 2-2.老化抑制と表皮・真皮ケア 2-3.メラニン抑制と美白 3.皮膚清浄化粧品の動向 3-1.皮膚洗浄料 3-2.メイク落とし 4.メイクアップ化粧品の動向 4-1.ベースメイク 4-2.ポイントメイク

●スキンケア化粧品関連編
2.皮膚内部で生きるアミノ酸とスキンプロテクション
味の素 坂本一民
1.はじめに 2.皮膚中のアミノ酸の存在と役割 3.皮膚機能の調和とアミノ酸の役割 4.アミノ酸の皮膚への作用
5.アミノ酸誘導体の開発と応用 6.結論

3.卵黄リゾレシチンの機能とその応用
キユーピー 金光智行
1.緒言 2.卵黄リゾレシチンの基本的な性質 3.卵黄リゾレシチンの可溶化特性 3-1.卵黄リゾホスファチジルコリン
3-2.卵黄リゾホスファチジルコリンの可溶化適性 3-3.卵黄リゾホスファチジルコリンの可溶化容量 3-4.卵黄リゾホスファチジルコリンの可溶化におけるpH安定性 4.卵黄リゾホスファチジルコリン/卵黄レシチン複合系の可溶化特性
4-1.卵黄リゾホスファチジルコリン/卵黄レシチン複合系の可溶化適性 4-2.LPC/PLの可溶化容量 5.卵黄リゾホスファチジルコリン/卵黄レシチン複合系の応用 5-1.コスメソームME水溶液の透明度と安定性 5-2.コスメソームMEの保湿性 6.おわりに

4.皮膚老化防止効果のある新規化粧品原料の開発
日光ケミカルズ 田村博明
1.はじめに 2.皮膚における老化の主要因(1)紫外線(2)酸化(3)乾燥およびバリア機能の低下(4)新陳代謝および女性ホルモンの低下 3.皮膚老化の防止 3-1.紫外線対策(1)紫外線防御剤(2)DNA修復剤(3)免疫増強剤 3-2.酸化対策 3-3.乾燥およびバリア機能低下の対策 3-4.新陳代謝や女性ホルモンの低下の対策(1)コラーゲン、エラスチンの産生促進(2)コラーゲン、エラスチンの架橋防止
(3)女性ホルモンの代替 4.おわりに

5.新規化粧品原料ヨーグルトエキスの開発と機能
  ー美肌作用を中心にー一丸ファルコス 田中清隆
1.はじめに 2.ヨーグルトエキスの有効性 2-1.小じわ改善 2-2.肌あれ改善 2-3.創傷(重度の肌あれ)改善 2-4.ターンオーバー促進 2-5.コメド抑制 2-6.保湿作用(角層水分含有量測定試験) 2-7.美白作用(チロシナーゼ活性阻害作用) 2-8.免疫低下抑制作用(接触過敏反応を指標とした検討) 3.物性 4.おわりに

6.高機能UV防御化粧品とその技術
花王 鈴木裕二
1.はじめに 2.UV防御化粧品に求められる機能 3.化粧品用UV防御技術 3-1.UV防御剤の種類 3-2.UVA「吸収剤」としての酸化亜鉛 3-3.白くならないUV防御粉体ーナノサスペンションー(1)高分散性の重要性(2)超微粒子高度分散液(ナノサスペンション)の調整(3)ナノサスペンションの物性と有効性 3-4.有機系および無機系UV防御剤の併用効果 4.UV防御化粧品の製剤化技術 4-1.UV防御効果の持続性 4-2.使用感の良いUV防御化粧品製剤(1)シリコーン系W/O製剤(2)シリコーン系両親媒性高分子を用いたW/O製剤 5.おわりに
 
●皮膚清浄化粧品関連編
7.敏感肌対応洗顔料の開発技術
ポーラ化成工業 酒井裕二
1.敏感肌と洗顔料について 2.敏感肌者の角質層について
3.理想的な洗顔料について 4.洗顔料の剤型と洗浄成分について 5.洗顔料の安全性について 6.洗顔料の使用法について 7.最後に

8.皮膚のうるおいを逃さない洗顔料ー界面活性剤の物性と洗顔料としてのパフォーマンスー
味の素タカラコーポレーション 三上直子
1.はじめに 2.洗顔料としてパフォーマンスとこれを構成する活性剤の物性 2-1.泡を作る 2-1-1.N-アシルアミノ酸の親水基部分の嵩高さ 2-1-2.N-アシルアミノ酸種による疎水性の評価 2-1-3.N-アシルグリシン塩の物性 2-1-4.N-アシルグルタミン酸塩の物性(1)中和によって性質はどう変わるか?(2)どちらのカルボン酸が先に中和されるか?(3)中和の度合いを変えることにより、どのような応用用途が展開できるか? 3.皮膚のうるおいを逃さない洗顔料(皮膚への効果) 3-1.皮膚のpHを変えない
3-2.皮膚水分量を保つ 3-3.選択洗浄性 3-4.洗い上がりのツッパリ感と界面化学との関係 4.おわりに

9.極性油のエマルション特性とクレンジング料への応用
ポーラ化成工業 酒井裕二
1.極性油と化粧品について 2.極性油の乳化特性について
3.極性油と無極性油の混合による影響について 4.極性基を複数持つ油の乳化特性について 5.極性が非常に高い油の乳化特性について 6.クレンジング料への応用について 7.最後に
 
●メイクアップ化粧品関連編
10.ファンデーション用薄片状顔料の開発と最新技術 メルク 野口民夫
1.はじめに 2.薄片状体質顔料 3.薄片状体質顔料の評価方法 4.新規薄片状体質顔料 ・合成雲母 ・板状硫酸バリウム ・板状チッ化ホウ素 ・有機化合物系板状体 ・球状粒子処理薄片状体質顔料 ・附着性の良い薄片状体質顔料 
・機能性薄片状顔料 5.パール顔料 ・パール光沢に関係する因子 ・酸化チタン被覆雲母系パール顔料 6.パール顔料のファンデーションへの応用 ・ファンデーション用着色パール顔料 7.おわりに

11.紫外線防御メイクアップ製品の開発技術
コーセー 荻原 毅
1.紫外線防御の基礎知識 1-1.歴史的背景 1-2.紫外線の人体への作用 1-3.紫外線防御効果測定法と表示基準
(1)SPF測定法と表示基準(2)PA測定法とPA表示基準
2.製剤技術 2-1.紫外線防御素材(1)有機化合物(2)無機化合物 3.メイクアップ製品と紫外線防御 3-1.メイクアップ製品の現状 3-2.ファンデーションの製剤化技術
3-3.紫外線防御効果の持続性 4.最近の紫外線防御技術
4-1.分散技術の事例(1)シリコーン系分散剤 4-2.複合化技術の事例(1)微粒子酸化チタン被覆雲母(2)微粒子酸化亜鉛含有球状シリカ(3)酸化セリウム系紫外線遮断剤 5.紫外線防御化粧品の課題 5-1.各国規制 5-2.技術課題

12.粉体を用いた高機能性化粧品用基剤開発
花王 堀田 肇
1.はじめに 2.粉体基材そのもので仕上がり機能を高める粉体素材開発 2-1.肌をきれいに見せる化粧品の役割 2-2.色ムラ,凹凸ムラの見え方 2-3.高光拡散透過性粉体の開発と応用
3.大きさや形の異なる粉体の組み合わせにより特異な機能を発現する製剤開発 3-1.単分散微小粉体/球状粉体混合系の特異な付着性 3-2.単分散微小粉体/球状粉体混合系の特異な仕上がり機能 3-3.単分散微小粉体による反射抑制膜 4.パウダー剤型とリキッド剤型の特性を併せ持つ新しい使用性の粉体製剤開発 4-1.粉体製剤の組成と使用性 4-2.粉体の油剤中での混合特性と粉体層での空隙率の解析 4-3.粉体層における油剤の役割と“パウダージェル”の特性 4-4.パウダージェル製剤のマチュア世代女性への応用例 5.おわりに

13.ポリシロキサン3次元架橋体の開発と化粧品への応用 コーセー 栗林さつき
1.はじめに 2.ポリシロキサン架橋体の開発 2-1.ポリシロキサンについて 2-1-1.ポリシロキサンの特徴 2-1-2.化粧品剤型におけるポリシロキサンの機能 2-2.ポリシロキサンの3次元架橋によるジメチルポリシロキサンゲル化剤の開発 2-2-1.油ゲル化剤について 2-2-2.ポリシロキサン架橋体の合成方法 2-2-3.ポリシロキサン架橋体の構造と特徴 2-3.ポリシロキサン架橋体の特性 2-3-1.ゲル特性と流動特性 2-4.部分親水化ポリシロキサン架橋体の特性 2-4-1.ゲル特性 2-4-2.乳化特性 3.製品への応用事例 3-1.メッシュスルーコンパクトファンデーションの開発 3-1-1.ファンデーションの剤型別特徴 3-1-2.メッシュスルーコンパクトファンデーション 3-2.高含水型W/Oクリームの開発 3-2-1.W/Oエマルションについて 3-2-2.高含水型W/Oクリーム 4.おわりに

14.高持続口紅の技術ー色移りしないツヤ口紅を目指してー 花王 柴田雅史
1.はじめに 2.口紅とは? 3.高持続口紅の技術 3-1.色落ちしにくい口紅(1)古典的な色落ちしない口紅(2)高分子アルギン酸による色落ち防止技術 3-2.色移りしにくい口紅(1)古典的な色移りしにくい口紅:揮発性オイルの配合(2)皮膜形成ポリマーを使った色移り防止技術(3)最近の色移り防止口紅 4.自己組織性シリコーンポリマーを活用した,色移りしないツヤ口紅の開発 4-1.自己組織性シリコーンポリマーの特性 4-2.EOS含有口紅の色持ち性能 4-3.EOSゲルの接着性向上剤としてのGES 4-4.揮発性オイルを用いた高持続口紅との比較 5.おわりに

15.粉体の表面改質・複合化技術と応用
大東化成工業 田中 巧
1.粉体の表面処理の化粧料中での役割 2.粉体の表面処理の現状 3.表面処理の複合化による機能性の付与 4.新しい表面処理とその可能性

●毛髪化粧料編
16.毛髪化粧料における界面活性剤・水溶性高分子の応用技術 ライオン 山縣義文
1.毛髪化粧料とは 2.シャンプー 2-1.基本機能と構成成分 2-2.洗浄基剤(界面活性剤)の技術動向 2-3.洗浄基剤と高分子との相互作用 3.リンス 3-1.基本機能と構成成分
3-2.カチオン界面活性剤の毛髪への吸着挙動 3-3.新規カチオン界面活性剤(1)ゲルベ型カチオン界面活性剤(2)グアニジン型カチオン界面活性剤(3)エステル型カチオン界面活性剤(4)脂肪酸アミドアミン型界面活性剤

●全体に関連する原料・製剤技術編
17.微粒子酸化チタンの開発 テイカ 蒲田佳昌
1.はじめに 2.製法 3.酸化チタンの基本的性質
3-1.物理,化学的性質 3-2.粒子径 3-3.分散 3-4.耐候(光)性 4.微粒子酸化チタンの用途 4-1.紫外線遮蔽剤
4-2.メタリック塗料の色調改良材 4-3.その他 5.おわりに

18.シリコーンの化粧品への応用技術
信越化学工業 中西鉄雄
1.序 2.KSGシリーズ 2-1.KSG10・40シリーズ 2-2.KSG210・300シリーズ 3.KPシリーズ 3-1.KP540シリーズ 3-2.KP560シリーズ 4.KSPシリーズ 5.SPDシリーズ 6.まとめ

19.化粧品用液晶ゲル・エマルション製剤
花王 鈴木敏幸
1.はじめに 2.リオトロピック液晶の形成と構造解析 2-1.両親媒性分子の自己組織性と会合体の形成 2-2.両親媒性分子が形成する液晶と構造解析 2-3.液晶と相挙動 3.液晶を用いたエマルション製剤 3-1.ラメラ液晶を用いたO/Wエマルションの生成 3-2.逆ヘキサゴナル液晶を用いたW/OエマルションとシリコーンW/Oエマルション 3-3.キュービック液晶を用いた高内相比ゲルエマルション 4.液晶ゲル製剤 5.おわりに






 

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